(1)あなたの味方になってくれるプロはいますか?
この仕事をしていると、定期的に訊かれる質問があります。
『ハウスメーカーとの違いは何ですか?』と。
家づくりにおいて、これはとても重要な疑問だと思います。
知っているようでよくわかっていない事、何回かに分けてご説明したいと思います。
1回目は、建築家に頼むと何が違うのか。
答えが気になる方に簡単に答えておきましょう。
・一人で頑張る家づくり→ハウスメーカー
・専門家を味方につけた家づくり→建築家
家を一度でも建てたことのある方でしたらピンと来た方も多いと思います。
もう少し詳しく説明しましょう。
家づくりには大きく3つの工程があります
1.設計
2.見積
3.工事
ここに参加するのはこの3者です。
a.施主(建て主)
b.設計者(建築家)
c.施工者(工務店)
ハウスメーカーはb.cが一体となったもので取引の関係は以下のようになります。
・ハウスメーカー
【a.施主】↔︎【b.設計者+c.施工者】
・建築家
【a.施主+b.設計者】↔︎【c.施工者】
施主側に仲間が増えていますね(笑)
では各工程でどんな違いがあるか見てみましょう。
1.設計段階
・ハウスメーカー
商取引の観点から見ても、ハウスメーカー設計者の立場は明白です。ハウスメーカーの設計者は、施工者に雇われているので、施工者の顔を見て設計します。
「自由設計」と言っていても、いざ計画してみるとプランがピンと来ない理由かもしれませんね。
・建築家
建築家は施主と直接契約します。
b.建築家とc.施工者の間では金銭のやり取りは一切ありませんので、建築家は施工方法に縛られず、施主の暮らしに合った設計をすることが出来ます。
2.見積段階
・ハウスメーカー
設計施工が一体となっていますので、設計と一緒に工事金額が提示され、早くて安心、と感じるかもしれません。でも、これは決まった作り方をして、施工側から考えた設計だから早いのです。
さて、提示された金額ですが、a.施主ひとりで、その評価が可能でしょうか。細目を見てもよく分からないようになっていますし、値引きやキャンペーンを考えると、見積の数字自体に根拠が有って無いようなものになってしまい、評価のしようがありません。きっとハウスメーカー数社からプランと見積を取って、一番安かったところに決めた、という結論くらいが落としどころでしょう。
また、この時ハウスメーカーの設計者は施主のために公平に動いてくれることはありません。
・建築家
図面が完成したらa.b間で相談して、適切なc.施工者から工事見積を取得します。
建築家は施主の代理人として、見積書の細目をチェック・評価し、施主に報告します。
建築家と施工者、プロ同士が交渉しますので、根拠のある見積を取得し、施主の希望が最大限に実現するようにその内容を見直し、適切な価格で工事の契約が可能になります。
3.工事段階
・ハウスメーカー
施工者は自分で自分の工事をチェックします。・・・凄くおかしな文章ですよね。施主のお金を預かって工事をしながら、自分で自分をチェックする。何か施工者に不利な問題があったとして、施主にとってフェアな報告はあるでしょうか?何百のセルフチェック項目があっても安心出来ません。今まで良くしてくれた営業マンを信じるのみ(ですが、彼は施工者に雇われた施工者側の一人です)。
・建築家
工事が始まったら、建築家は施主の代理人として、契約通りに施工されているかをチェックします。
また、施主の希望が最大限に実現されるように実際の作り方を考え抜き、日々、施工者と協議交渉していきます。施主の確認が必要な時々で適切に工事現場に来ていただき、施主にとって無駄な時間と心配を極力排除します。
以上が主な違いです。
相当簡単に書いていますので、細部にわたって違いがありますが、そのすべては設計者が施主の側にいるか、いないか、の違いに起因しています。
次回は設計費用について解説したいと思います。
常に施主の味方である専門家、理想の家づくりの代理人として、リツデザインは仕事をしています。